「採用をしたいけど、何から始めれば良いかわからない」
「久しぶりの採用でどんな流れだったか覚えていない…」
「なんとなく採用活動を進めてきたけど、もっと良い方法があるのかもしれない」
そんなお悩みを抱えている採用担当者様に、本記事ではアルバイトを採用するまでの流れを徹底解説いたします。
実際の採用活動に活かせるポイントもご紹介しますのでぜひご活用ください。
目次
基本的な採用活動の流れ
①手法の決定
②採用ルールの理解
③労働条件の確定
④求人票の作成
⑤求職者対応
⑥面接対応
⑦採用可否の連絡
⑧入社に向けた手続き・準備
⑨入社
まとめ
基本的な採用活動の流れ
アルバイト採用は基本的に以下のような流れで進めていきます。
各フェーズでやるべきこと、ポイントなどを1つずつご紹介していきます。
採用手法の決定
まずはどのような媒体を利用し、採用活動を進めていくかを決めましょう。
例えば、マイナビバイトは「WEB求人媒体」にあたります。
専属の担当者がつくため二人三脚で採用活動を行えることや、幅広い層へアプローチできることなど大きなメリットがある一方で、広告掲載料を支払う必要があるため金銭面の負担が生じます。
このように媒体ごとにメリット・デメリットが存在するため、「理想の入社時期」「採用したい人材の属性」「採用活動の予算」などを考慮し、最適な採用手法を選択する必要があります。
「WEB求人媒体」以外のサービスの特徴は、以下の表をご参照ください。
※ 引用)マイナビバイト「一目でわかる!媒体別求人手法の比較表」p.3
またマイナビバイトでは無料相談窓口を設置しているので、採用活動に不安や疑問がある場合はいつでもご相談ください。
マイナビバイト無料相談窓口
採用ルールの理解
採用活動を進めるにあたって、最低限理解しておくべきルールをご紹介します。
カテゴリ | 内容 | ポイント |
賃金*1 | ①最低賃金以上の時給設定 (令和4年度地域別の最低賃金はこちら) ②深夜手当 22時~翌5時+25%以上 ③残業手当 1日8時間・週40時間以上+25% ④休日手当 法定休日(週1日)の勤務+35% | ・応募数を確保するためだけの安易な時給設定には要注意! エリアの相場や競合他社の相場等を参考にする。 ・従業員の評価制度等も導入し、定着のための時給設定を行う。 ・勤怠管理のルール作成で事前にトラブルを防ぐ。(タイムカードを切るタイミング、休憩時間についてなど) |
有給休暇*1 | 採用から6か月を経過した日とその後1年を経過するごとに有給を付与 (付与日数は「週所定労働日数」などによって異なるため詳しくはこちらを参照ください)*2 | ・職種転換・契約更新をしても引き継がれることを忘れずに。 |
解雇/契約更新時の対応*1 | <解雇> ・解雇理由の明示 ・解雇予告の実施 30日前までの予告、又は手当として最低30日分の平均賃金の支払い <更新> ・更新の有無の明示 ・1年以上の勤務、または3回以上の契約更新時は30日前までに更新しない旨を予告する必要がある | ・契約更新の有無は労働契約書(または労働条件通知書)に明示する。 |
保険 | ①雇用保険 *3 1週間の所定労働時間20時間以上、31日以上の雇用見込みがある人 ②労災保険 *3 すべてのアルバイトが対象 ③社会保険 *4 週の所定労働時間が20時間以上、賃金が月8.8万以上、2カ月以上の雇用見込み、従業員数が101名以上の企業(2024年10月以降は51人以上の企業も対象)、学生でないこと | ・社会保険に加入することにより、アルバイトさんの月々の給与が減少するため、加入の可否は本人の希望に合わせて労働時間を調整する。 |
未成年(18歳未満) の雇用 | <原則禁止事項> ・1日8時間以上の勤務 ・深夜に働かせること(22時~翌5時) ・重量物を取り扱う作業 ・高さ5m以上の場所で墜落のおそれがある場所で行う作業 など | ・中学生以下(満15歳に達した日以後の最初の3月31日まで)を労働者として働かせることは原則禁止。 |
健康診断*1 | <対象> ・1年以上の継続雇用見込み、または1年以上継続雇用している ・1週間の所定労働時間が常時従業員の4分の3以上 である人 |
労働条件の確定
最低限のルールを確認したら、ルールに沿って勤務条件を決定します。
<決めておくべき勤務条件>
・契約期間
・就業場所
・業務内容
・就業時間
・休憩時間
・所定時間外労働の有無
・休日
・年次有給休暇の有無
・賃金
・試用期間
・加入保険
・責任者氏名
・雇用形態
など
これらは労働契約書(労働条件通知書)にも明示する必要があるので、事前にしっかりと決めておきましょう。
時給は必ず最低賃金以上の金額に設定し、近隣同業他社の相場なども参考にしながら決定すると良いでしょう。
試用期間の長さに法的な決まりはありませんが、あまり長い期間に設定することは好ましくありません。*5
<学生アルバイトを雇用する際の注意点>
学生アルバイトは学業とアルバイトを両立しているため、勤務時間に限りがあることを理解し、適切な条件で雇用する必要があります。
労働条件の認識に相違があると、思わぬトラブルに発展する可能性があるため事前によく話し合っておくことが大切です。
厚生労働省で公開している点検表もあるので、参考にして定期的に自主点検を行うと良いでしょう。
求人票の作成
「求人票」とは求職者に向けて、自社の労働条件や応募条件などを記載した書類のことです。
媒体によって掲載方法はさまざまですが、求人票の内容や文言などは応募数などに大きく影響します。
<求人票作成のポイント>
・自社の魅力を考える
労働条件ばかりを求職者に押し付けていては魅力がうまく伝わらなくなってしまいます。
求職者にとってメリットとなるような情報も記載しましょう。
自社の魅力がわからない場合は、実際に働くスタッフのみなさんにインタビューを行なってみることもおすすめです。
・ターゲットを明確にする
属性などによってアルバイトに求める条件は違います。
ターゲットを明確にし、効果的なアピールを行うことが大切です。
属性ごとの求める条件等は、マイナビバイトが実施している調査結果をご参考ください。
大学生のアルバイトに関するレポート(2022年)
主婦のアルバイト調査(2022年)
高校生のアルバイト調査(2022年)
<求人票のNG表現>*6
・年齢制限
年齢を絞って募集を行うことや、年齢を理由に応募を断ることは雇用対策法で原則禁止されています。
・性差別につながる内容
「営業マン」「ウェイトレス」などの男女いずれかの性別を排除した募集は雇用機会均等法により原則禁止されています。
「女性は5時間、男性は8時間勤務」や「男性には力仕事をお願いする」など男女で異なる基準を設けることや、異なる扱いをすることも禁止されています。
求職者対応
<連絡手段>
応募を行なった求職者との連絡手段は電話・メールが主流でしたが、SMS(ショートメール)や様々なSNSを活用してやり取りを行う企業も増えています。
<連絡するタイミング>
以下の「応募後の連絡スピード」に関するグラフから、求職者の多くは「応募当日から2〜3日以内の連絡」を望んでいることが分かります。
これ以上遅くなってしまうと自社への興味が薄れる、他の企業へ応募してしまうなど、面接率が低くなる可能性があるため注意が必要です。
マイナビバイトとしては2日以内の連絡を推奨しています。
スケジュール管理をしつつ既存スタッフにも採用活動を行なっていることを周知し、応募当日から2〜3日以内の連絡を意識すると良いでしょう。
※ 参考)マイナビバイト ユーザーアンケート調査(集計期間:2022年10~11月)
面接対応
<面接の基本的な流れ>
①アイスブレイク
②労働条件を伝える
③ヒアリング
求職者が希望する働き方や希望月収などをヒアリングする。
④仕事のやりがい・特徴を伝える
メリットに加えて、正直に厳しい点も伝えると良い。
⑤質問タイム
仕事内容で不安な点などをヒアリングし、求職者の本音を聞き出す工夫を行う。
⑥応募者の志望動機等の確認
⑦合否連絡の案内
合否までの日数、連絡方法を明示する。
「合否は〇日以内に電話(メール)でご連絡します。」など。
<面接で聞いてはいけない質問>
採用面接を行う上で絶対に意識しておかなければいけないのが、以下の2点です。
①応募者の人権を尊重すること
②応募者の適性・能力に基づいて行うこと *7
では具体的にどんな質問をしてはいけないのでしょうか。
NG例 *8
・「ご両親の職業は?」
・「生まれはどこですか?」
→本人の責任がない事項のため
また以下のような質問も就職差別につながる恐れがあるので、注意が必要です。
・「尊敬する人物は?」
・「愛読書は?」
→自由であるべき事項のため(思想信条に関わる可能性があるため)
家族状況や生活環境といった応募者の適性・能力とは関係のない事柄で採否を決定してはいけません。
応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準として採用選考を行なうことが大切です。
採用基準としないつもりでも把握すれば結果的に採否決定に影響を与える可能性があるため、応募用紙に記入させたり質問したりしてはいけません。
採用可否の連絡
以下の「面接後の合否連絡スピード」に関するグラフから求職者は「面接当日から2〜3日以内」の連絡を望んでいることが分かります。
合否の連絡方法は、メールや電話などが主流です。
事前に連絡方法を決めておき、面接時に伝えておくことでスムーズに連絡が取りやすくなるでしょう。
不採用だった場合、「すぐに別の仕事を探したい」と考える求職者も多くいるため、応募後の連絡も面接後の合否連絡も早いに越したことはありません。
また応募書類の取扱い(破棄・返送等)についても明示しておくことが大切です。
※ 参考)マイナビバイト ユーザーアンケート調査(集計期間:2022年10~11月)
入社に向けた手続き・準備
アルバイト雇用の際、入社予定の方にいくつか書類の提出を求める必要があります。
各企業で独自に取得が必要とされているものもあるかと思いますが、株式会社マイナビでアルバイトスタッフを雇用する際に、アルバイト従業員に提出を求める書類を一例としてご紹介します。
【法律で定められている提出必要書類例】
①雇用契約書 兼 労働条件通知書
原則書面で交付する必要があります。
(労働者が希望した場合はFAX・WEBメール等も可能。ただし書面として出力できるものに限る)
②マイナンバー
社会保険や源泉徴収などの申告の際に原則必要であるため。
【企業が必要と判断した場合に提出を求める書類例】
①履歴書
経歴詐称などのトラブルに発展した際に有効な書類となります。
②本人確認書類の写し(住民票記載事項証明書)
免許証、パスポート、健康保険証など現住所のわかるもの。
(学生の場合は学生証など)
③通勤交通費申請書
④健康診断結果
健康保険加入者は提出必須です。
⑤誓約書・同意書
機密保持や守秘義務に関する取り決めや、個人情報の取り扱いなど必要に応じて作成しましょう。
入社
無事に求人募集、面接、入社準備を終えれば、いよいよ採用したスタッフの入社日を迎えます。
やっと採用できた人材に長く働いてもらうためにも、職場環境を整えて置くことが大切です。
・安心できる職場づくり
勤務初日のアルバイトさんは、特に緊張しています。
初日から不安や不満を感じさせてしまうことが、早めの離職につながるかもしれません。
他の従業員にも新しいアルバイトさんが来ることを周知して、職場全体で歓迎・サポートし、不安を取り除いてあげましょう。
教育担当をあらかじめ決めておくことも、「わからないことはこの人に聞けばいい」という安心感につながるでしょう。
また週毎、月毎の面談や数分でもコミュニケーションを取るなど、アルバイトさんの本音を知る機会をつくることも効果的です。
・マニュアルの作成
「教える人によって言っていることが違う」と新人アルバイトさんを混乱させないためにも、マニュアルの作成をおすすめします。
また失敗体験、成功体験のどちらも積ませてあげることがアルバイトさん自身の成長にもつながるでしょう。
「応募〜定着までの悩みを解決するガイドブック」や求職者対応マニュアル、面接時のヒアリングシートなども作成しているのでぜひご活用ください。
マイナビバイト作成「応募〜定着までの悩みを解決するガイドブック」
*1:引用) 東京労働局「働き方のルール~労働基準法のあらまし」
*4:引用)厚生労働省「法改正によりパート・アルバイトの社会保険の加入条件が変わります」
*5:参考)厚生労働省労働基準局監督課「モデル就業規則(令和4年11月版)」p.13
*6:参考)公益社団法人 全国求人情報協会「採用成功のためのワンポイント 性別で採否を判断するのは、人材との出会いを見逃しています」
まとめ
今回はアルバイト採用の基本的な流れをご紹介しました。
アルバイト採用には明確な基準や正解はありません。
求人原稿や面接対応などにもこだわりを持ち、求職者に寄り添う姿勢で進めることで、企業も求職者も共に満足度の高い採用活動を行うことができるのではないでしょうか。
<監修者プロフィール>
社会保険労務士法人レクシード
代表/特定社会保険労務士 鈴木 教大 氏
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特定社会保険労務士として、全国数百社にのぼる顧問企業の支援実績から、労使トラブル対応などの現実的な解決策提示や予防措置提案を行う。企業の労務を“予防”という視点からサポートすることに力を入れており、労働保険や社会保険関係の手続きから給与計算、勤怠管理、行政対応、リスク回避型の就業規則作成支援、入札にからむ経営事項審査サポートまで、幅広く企業の人事サポートを実施している。
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記事公開日:2023年7月20日