「応募につながりにくい」「採用につながりにくい」とお悩みの採用担当の皆様は、もしかしたら採用活動で陥りがちな「落とし穴」を見落としているかもしれません。
今回は陥りがちな採用の落とし穴について「求人情報の掲載準備編」「応募者対応編」の2パートに分けて解説します。
実例をもとに回避方法もご紹介しますので、現在採用活動を行っている担当者様も今後行う予定がある方もぜひ参考にしていただければと思います。
目次
採用活動によくある落とし穴
・求人情報の掲載準備編
・応募者対応編
まとめ
採用活動によくある落とし穴
あまり気にしていなかった求人情報の記載内容や応募者への対応が原因で、実は伝えたい仕事や企業のイメージとは異なる伝わり方になっているかもしれません。
以下の例を参考にしていただき、求人情報の掲載準備前・応募者対応前には改めて求人情報や対応方法について、本当に伝えたい内容になっているか確認していただくことをおすすめします。
求人情報の掲載準備編
ケース①「必須条件」と「歓迎条件」が混同してしまい採用に繋がらない
非常に陥りやすい落とし穴の1つが、「必須条件(MUST)」とあれば嬉しい「歓迎条件(WANT)」が混合してしまい、応募のハードルが上がってしまうことです。
ハードルが上がれば応募しようと考える求職者が限られてしまうので、採用すること自体が難しくなってしまいます。
少しでも多くの応募数を確保し、自社に合った人材を採用するためには募集条件(必須・歓迎)の明確化と見直しを行うことが大切です。
では実際の例を見てみましょう。
●募集職種/農業用機械の洗浄・アシスタント
【見直し前の募集条件】
・週5日フルタイム勤務ができる方
・農業用機械整備の経験者
該当者の母数が少なく、応募数の獲得がかなり厳しい条件で掲載を希望していた。
【見直し後の募集条件】*1
・週5日フルタイム勤務(必須)
・農業用機械整備の経験者(歓迎)→「未経験可のアシスタント」に変更
当初の掲載希望条件から必須条件と歓迎条件の見直しを行い、「経験者の募集」を行う予定だったところを「未経験可」へ、募集条件の緩和をした。
【実際の掲載原稿】
※ 引用)マイナビバイト「マイナビバイトの求人原稿を通じて、届けたいこと」
【結果】
未経験者には挑戦しづらいと感じさせてしまう可能性がある職種にもかかわらず、4名の応募を獲得し最終的に2名を採用することに成功した。
ケース②ターゲットやトレンドを意識せず、好条件だけを押し出してしまいミスマッチが起こる
●募集職種/警備スタッフ
【見直し前の募集条件】
・週1回以上、1日8時間以上から勤務可能
・日払い可、高収入
働き方を選べる柔軟さ・高収入などの好条件を全面にアピールをしていたため、応募数の獲得はできた。しかし「1日8時間未満で働きたい」「単発で1回のみ働きたい」など、シフトの詳細まで見ずに応募する求職者が多く、採用条件に合わずに採用まで至らなかった。
【見直し後の募集条件】
・募集条件は変更せず、ターゲットを明確化した
「推し活」を行ういわゆる「オタク」をメインターゲットに設定した。
熱中できるものがある人は「活動資金を稼ぐためにしっかり働きたいと思っているのではないか」「一生懸命誰かを応援できる人ということは、真面目で誠実そう」などの可能性やイメージからあえてターゲットを絞った。
「オタ活」「押しが尊い」などのトレンドを意識した文言も記載し、求人原稿の見せ方を変更した。
【結果】
募集条件は変えなくてもターゲット層を明確化することで、求職者とのマッチング度が向上し自社に合った人材の採用を行うことができた。
そのほかに注意すべきなのは「企業視点の求人情報を作成していないか」です。
求人情報内に自社の沿革や業績などの宣伝要素が多くなり、肝心の仕事内容や魅力が上手く伝わらなくなってしまうケースが多くあります。普段当たり前に職場で使われている専門用語・業界用語を使うことも、求職者に伝わりにくくなる原因となりますので注意が必要です。ターゲットが決まっているのであれば、そのターゲットが理解しやすい言葉や表現を使うことが大切です。
ケース①/ケース②の改善策のように求職者がどんな目線で求人情報を見て、何を感じているのか、何を求めているのかを意識しながら、採用活動を行うことが大切です。
*1:マイナビバイト「マイナビバイトの求人原稿を通じて、届けたいこと」
応募者対応編
ケース①面接時に求人内容と異なるシフトを案内する
ここでは実際にマイナビバイトに寄せられたお問い合わせを例に、応募者対応のNG行為を解説していきます。
※ 引用)マイナビバイト発行「マイナビバイト通信 2021年7月号」P.14
※ 引用)マイナビバイト発行「マイナビバイト通信 2022年5月号」P.10
上記の事例は、どちらも求職者が見ていた求人情報と異なる情報を面接時に伝えてしまったことで生じたトラブルになります。
【見直すべきポイント】
・求人情報と異なる案内をしない
・掲載内容と条件が異なる場合は、すぐに掲載内容を変更する
・掲載内容の変更が間に合わない場合は、面接前に応募者に確認の連絡をする
「短時間労働者はすでに採用できたから、以降の面接ではフルタイム勤務ができる人を採用したい」など採用活動中にも希望する人材が変わってくることもあると思います。
しかし面接で突然求人情報と異なる案内をしてしまうと、応募者に不信感を抱かせてしまう可能性があるため注意が必要です。
ケース②面接で配慮が必要な質問
アイスブレイクなどで、応募者の緊張を解したいという気持ちから良かれと思って投げかけた質問が、実は就職差別になってしまうかもしれません。
仕事への適性や能力以外の、プライベートにかかわるような質問には注意が必要です。
以下のような項目に該当する質問をしていないか、改めて確認してみましょう。
●本人に責任のない事項の把握*2
・本籍や出生地に関すること(戸籍謄本などを提出させること)
・家族に関すること(両親の職業や健康状態、学歴、収入、家族構成など)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること
●自由であるべき事項の把握*2
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
●採用選考の方法*2
・身元調査などの実施
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
【見直すべきポイント】
・「応募者の適性・能力が求人職種の業務を遂行できるか」を基準として採用活動を行う
・応募者の基本的人権を尊重する
厚生労働省のホームページ*2には、公正な採用選考の基本的な考え方について紹介されているので、面接対応を行う前に一度確認しておくことをおすすめします。
まとめ
今回は採用活動を行う際に陥りがちな落とし穴とその回避方法や見直すべきポイントをご紹介しました。
「気づかないうちに該当するような対応をしていた」と感じた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
採用活動は素晴らしい人材との新たな出会いがある一方、対応の仕方によってはトラブルを引き起こしてしまう可能性もあります。
企業・求職者ともにメリットのある採用活動にするため、自社の採用活動を定期的に振り返ってみてはいかがしょうか。
記事公開日:2023年7月20日