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知らないではすまされない!正しい募集要項の書き方と注意点

求人募集を行う際に必ず必要となる募集要項の作成には、実は多くのポイントや注意点があることをご存じでしょうか。

正しい知識を持って作成しなければ、思わぬトラブルを引き起こしてしまう可能性もあります。
今回は募集要項の基本知識から、求職者の目に留まりやすい作成方法のポイント、注意点まで分かりやすくご説明します。

目次

募集要項の基本
・募集要項とは?
・募集要項に記載する内容
募集要項の書き方とコツ
募集要項をより効果的に作成するためのポイント
・ポイント①ターゲットを明確にする
・ポイント② ターゲットが魅力に感じる自社の強みを探す
実際に合ったトラブル事例
・募集要項と雇用条件が違う
まとめ

募集要項の基本

募集要項とは?

募集要項とはハローワークの求人票や求人広告を出す際に必要となる、募集内容や労働条件などの「求職者に伝えなければならない情報」をまとめた項目のことです。

仕事内容や勤務地・給与などの記載がなければ、求職者は当然応募を判断できません。

また労働者を募集する際、雇用者には「労働条件の明示義務」(職業安定法第5条の3)*1が適用されます。

誤解を与える恐れのある表現や虚偽の情報を記載していた場合は、罰則の対象になることもあるので正確に記載しておく必要があります。

*1:参考)e-Govポータル(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000141


募集要項に記載する内容

必須
・業務内容
・契約期間、試用期間
・就業場所
・就業時間、休憩時間、休日、時間外労働
・賃金
・加入保険(雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険)
・募集者の氏名または名称
・受動喫煙対策について ※2020年4月1日施行

推奨
・応募資格
・福利厚生

【記載例】

※厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」を元に作成


職業安定法など労働に関する法律が変更されると、募集要項に記載すべき内容が変わってしまうこともあります。
求人募集をする際は、最新情報をチェックしておきましょう。

募集要項の書き方とコツ

ここからは募集要項に記載すべき項目ごとに、基本的な書き方とコツをご紹介していきます。

業務内容

・具体的に記載する
その他の条件が良い募集であっても、何をする仕事なのかがイメージ出来なければ積極的に応募する求職者は少なくなってしまいます。
向き不向きや身体的な負担など、求職者が自身の入社後の姿を想像できるように具体性を意識して作成することが重要です。

・誰にでもわかりやすい書き方を工夫する
専門性や独自性の強い名称は応募者に伝わらず、応募を躊躇してしまう可能性があります。
社内や業界内で試用される名称をそのまま記載するのではなく、誰にでも伝わりやすい表現に変更するなどの工夫が必要です。

契約期間・試用期間

・契約期間を明記する
正社員であれば雇用契約の期間に定めはありませんが、その他の雇用形態の場合は期限や更新の条件が定められていることもあると思います。
入社後のトラブルを避けるためにも、明確に記載しておきましょう。

・試用期間を明記する
試用期間はその有無だけでなく、期間や期間中に変動する条件の明示が必要です。期間中に変動する条件で代表的なものは試用期間の給与などです。
求職者にとっては応募に関わる重要な情報となるので、変動するものを全て列挙したうえで「その他の条件に変動はない」という旨も明確に記載しておくことが大切です。

就業場所(勤務地)

就業場所は求職者にとって応募を判断する大切な条件となります。
実際にマイナビバイトが求職者を対象に行なったアンケートでは、87.9%の回答者が「通いやすい勤務地の仕事」にこだわりを持って仕事探しを行なっているとしていました。*2
所在地を正確に記載し、可能であれば最寄り駅など交通機関の情報を明記しておくと良いでしょう。

就業時間、休憩時間、休日、時間外労働

・実例を挙げて正確に記載する
勤務時間は主に「時間帯」と「実働時間」、そして「休憩時間」が記載されていることが多いですが、求職者にとっては「残業時間」も応募を決める重要な判断材料です。
実態に即した月平均値などを正確に記載しておくことが大切です。

・休日休暇
休暇を取得できる曜日が決まってる場合などは、その旨をしっかり記載しましょう。

賃金

お金を稼ぐことが目的で仕事を探す求職者も多くいるため、収入のイメージにギャップが生まれるとトラブルへ発展する可能性が高くなってしまいます。
また記載する月給が固定残業代や一律手当を含む場合には、そのうちいくらまでが基本給なのかを分かりやすく示す必要があります。

受動喫煙対策について

勤務先が複数ある場合は、各勤務先の状況を明記しましょう。
また喫煙可能なスペースでの就業が予想される場合は、20歳以下の雇用を避けるなど適切な対応を講じる必要があります。*3


応募資格
必要以上に細かく設定せず、必要最低限のスキルや資格・経験のみを記載することが望ましいです。条件が多いと求職者はハードルが高いと感じ、応募をためらってしまう可能性があります。
未経験・無資格でも就業可能な場合はその旨を記載し、応募の間口を広げる工夫をすることが大切です。
(ただし間口を広げすぎると、ターゲット外の求職者も応募できてしまうということには注意が必要です。)

福利厚生

・誰にでも伝わりやすく記載する
企業によって違いが出やすい福利厚生は自社の魅力アピールにも活用しやすい項目です。
独自の特典を整備している場合には、その内容を求職者にも分かりやすく記載しなければ魅力として機能しないため注意が必要です。

・条件がある場合は明記する
交通費などの福利厚生は、支給を「条件付き」としている企業も少なくないと思います。しかし求職者にとっては応募に関わる重要な条件になるので、可能な限り詳細に明記しましょう。
詳細を明記することが難しい場合は、社内規定がある旨を記載しておくだけでもトラブルの回避につながるはずです。

*2:参考)マイナビバイト「非正規雇用に関する求職者・就業者の活動状況調査(22年9-10月)」
*3: 参考)厚生労働省『「受動喫煙防止」に向けた取り組みについて」』

募集要項をより効果的に作成するためのポイント

ポイント① ターゲットを明確にする

募集要項を作成する際には、「どんな人物にどのように働いて欲しいか」というビジョンを確立し、そのターゲットに向けた表現を考えることが大切です。
応募資格は細かく記載しすぎず、求職者が応募しやすくすることも大切だと前述しましたが、むやみにターゲットを広げると募集要項が当たり障りのない内容となり、採用活動が難しくなる可能性があります。
ミスマッチを防ぐことにもつながるので、募集ターゲットの設定は丁寧に行いましょう。

ターゲットの決め方を解説している記事もございますので、ぜひ参考にしてみてください。
優秀な人材の見落としを避ける「人材要件」を定めるコツとは?

ポイント② ターゲットが魅力に感じる自社の強みを探す

ターゲットを設定できたら、全体的な表現を工夫するだけでなく、その対象者にとって魅力になりうる自社の強みを洗い出してみましょう。
例えば、家庭を持つ求職者がターゲットの場合には、残業の少なさや休みの取りやすさ、安定性なども大きなメリットになるでしょう。
ターゲットに刺さるであろう魅力を全面に押し出せば、より訴求力の高い募集要項が作成できます。
また他社にはない自社独自の福利厚生や社内制度を取り入れている場合は、他社との差別化が図れるため、しっかりと魅力としてアピールしましょう。

【求人情報への記載例】

募集要項に記載してはいけない内容

求人原稿内に記載する内容は公正・公平な採用を守るために、使用が禁止されている表現が存在します。
例えば、差別的な表現や年齢の制限など*3 が該当し、募集要項だけでなく求人情報の記載や面接時の質問等でも避けるべき表現となります。しっかりとルールを把握しておきましょう。

*3:参考)厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」

実際にあったトラブル事例

募集要項の記載が事実と異なっていたことが原因で起こったトラブルや、求職者対応の際に発生したトラブルなど、求職者からマイナビバイトへ寄せられたトラブル事例をご紹介します。
対策を講じておけば避けられるトラブルばかりであるため、採用活動を始める前に把握しておくことをおすすめします。

募集要項と雇用条件が違う

募集要項の記載内容
・週2日~、1日6時間~OK

企業側が考えていた雇用条件
・フルタイムで働ける人

トラブルの原因
求人掲載開始時に「週2日〜、1日6時間〜」の募集を行なっていた事業者は、記載の条件での採用人数が目標人数に達したため、「フルタイム」での募集に切り替えました。
しかし、その旨を求人原稿に反映せずに面接時に求職者へ伝えたため、トラブルへ発展しました。

トラブルの回避方法
勤務シフトは求職者が働き先を選ぶうえで重要な項目のひとつとなります。
募集要項と異なる雇用条件を提示してしまうと、時間と交通費をかけて面接に訪れた求職者に不信感や不満を抱かせてしまうことになるでしょう。
求人掲載期間中に雇用条件を変更する場合は、「速やかに掲載内容の変更を行う」「変更した時点でその旨を求職者に伝える」などの対応を取ることが大切です。

まとめ

今回は募集要項の基本的な書き方、そしてより効果的に進めるポイントと注意点を詳しく解説しました。

ルールや意識しなければならない事項が多い募集要項の作成ですが、法律に抵触する場合もあるため「知らなかった」だけでは終わらない可能性があります。
ハローワークや求人広告媒体などに掲載する場合は、担当するスタッフのチェック等も入りますが、社内でしっかり精査できる体制を整えておくことが大切です。

記事公開日:2023年7月20日

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